商談

「検討します」と言われたら。商談を止めない切り返しの考え方

「検討します」の裏には、判断材料の不足、社内確認、やんわりとした断りなど、いくつもの可能性があります。決めつけずに確かめ、次の一歩を決めるための質問・準備・その後の連絡の仕方をまとめました。

「検討します」と言われたら。商談を止めない切り返しの考え方

商談の最後に「一度社内で検討します」と言われ、そのまま連絡が途絶えてしまった。営業をしていれば、誰もが一度は経験することです。

この記事は、提案まで進んだのに「検討します」で止まってしまうことが多い方に向けて書いています。読み終えるころには、その場で何を確かめればよいか、商談のあとにどう連絡を続ければよいかが、具体的にわかるようになります。

「検討します」は終わりの言葉ではない

「検討します」と言われると、手応えがなかったように感じてしまいます。でも、それだけで脈がないと決まったわけではありません。言葉は同じでも、その裏にある事情は人によって違います。

たとえば、次のような可能性があります。

  • 判断材料が足りない:価格の妥当性、導入の手間、効果が見えていない
  • 自分だけでは決められない:上司や他部署、経営層の了承が必要
  • 優先順位が低い:必要性は感じているが、今すぐではない
  • 言いにくい不満がある:他社と比べている、提案内容がずれている
  • やんわり断っている:はっきり断るのを避けている

切り返しの目的は、相手を説得することではありません。意図を決めつけず、どれに近いのかを一緒に確かめることです。断りだとわかれば、それも次に活かせる大切な情報です。

まずは受け止める

「検討します」と言われた直後に、すぐ質問を重ねると、相手は「押されている」と感じます。最初の一言は、相手の判断を尊重する言葉にしましょう。

「ありがとうございます。しっかりご検討いただけるのはありがたいです。」

そのうえで、「検討を進めていただくために、こちらでお手伝いできることを確認させてください」と、質問の目的を伝えてから聞くと、相手も答えやすくなります。

その場で使える4つの質問

1. 引っかかっている点を聞く

「ちなみに、ご検討にあたって気になっている点があるとしたら、どのあたりでしょうか?」

「何か問題がありますか?」と聞くと、相手は身構えます。「気になっている点があるとしたら」と仮の形にすると、答えやすくなります。答えが出てきたら、すぐに反論せず、まず「なるほど、そこは大事な点ですね」と受け止めてから、補足できる材料があるかを考えましょう。

2. 誰が、何を基準に決めるのかを聞く

「社内でご検討いただく際、どなたが、どんな点を重視して判断されることが多いですか?」

決める人と判断基準がわかれば、次に用意すべき資料がはっきりします。たとえば「最後は部長が費用対効果を見て決める」とわかれば、部長向けに効果と費用を1枚にまとめた資料が必要だとわかります。

3. 検討の進め方と時期を聞く

「社内でのご検討は、どのような流れで進むことが多いですか?会議などで話し合われるタイミングはありますか?」

稟議が必要なのか、定例の会議で決めるのか、予算の時期が決まっているのか。流れがわかれば、こちらが連絡すべきタイミングも見えてきます。

4. 次の予定を決める

「では、◯日ごろに一度、ご検討の状況を伺ってもよろしいですか?」

いちばん大切なのはこれです。「ご連絡をお待ちしています」で終わると、商談はそのまま止まりがちです。次に話す日を、その場で決めておきましょう。日程が決めにくい場合でも、「来週中に、私から一度メールでご様子を伺います」と、こちらから動く約束をしておきます。

具体例:「検討します」から次の一歩までの会話

製造業の総務部の課長に、勤怠管理システムを提案した場面を例にします。

課長「内容はよくわかりました。一度社内で検討します。」

営業「ありがとうございます。ご検討いただけるのはありがたいです。検討を進めていただくために、少しだけ確認させてください。気になっている点があるとしたら、どのあたりでしょうか?」

課長「正直、現場が新しい仕組みに慣れるかが心配で。」

営業「そこは大事な点ですね。現場の方の使い方を、実際の画面でご覧いただける時間を取ることもできます。ちなみに、最終的にはどなたがお決めになりますか?」

課長「工場長の了承が必要です。来月の定例会議で話すことになると思います。」

営業「承知しました。では、工場長にもお見せいただけるよう、現場での使い方と導入の流れを1枚にまとめた資料を、今週中にお送りします。会議の前の◯日ごろに、一度ご様子を伺ってもよろしいですか?」

この会話で、営業は「不安の中身」「決める人」「決める時期」の3つを確かめ、次にやることと連絡の日を決めています。どれも、相手を説得するための質問ではなく、検討を前に進めるための質問です。

商談のあとに送るメール

商談が終わったら、当日中に連絡しましょう。ポイントは、相手が社内でそのまま転送できる内容にすることです。

件名:本日のお打ち合わせのお礼(勤怠管理システムのご提案)

本日はお時間をいただき、ありがとうございました。 ご検討にあたって、現場の皆さまが使い慣れるかどうかを気にされているとのことでしたので、現場での使い方と導入の流れを1枚にまとめた資料を、◯日までにお送りします。 定例会議の前の◯日に、改めてご様子を伺えますと幸いです。

メールの中で「何を」「いつまでに」送るかを書いておくと、自分のやるべきことも明確になります。

約束の日に連絡するときの一言

決めた日に連絡するときは、「どうなりましたか?」と結果だけを聞くのではなく、相手の検討を手伝う姿勢を見せましょう。

「先日お送りした資料について、社内でご説明いただくうえで、足りない情報はありませんでしたか?」

もし「まだ検討中です」と言われたら、無理に進めず、次の連絡のタイミングをまた決めます。「今回は見送ります」と言われたら、理由を一つだけ聞いておきましょう。

「承知しました。差し支えなければ、今後のご提案の参考にしたいので、決め手になった点を一つだけ教えていただけますか?」

断られた理由は、次の商談でよく出る質問への答えを準備するための材料になります。

よくある失敗と直し方

よくある失敗 なぜよくないか 直し方
すぐに値引きを口にする 価格が理由とは限らず、提案の価値を下げてしまう 先に「気になっている点」を聞く
しつこく即決を迫る 信頼を失い、次の機会もなくなる 相手の検討の流れに合わせて連絡日を決める
連絡を待ち続ける 相手の中で優先順位が下がっていく こちらから連絡する日をその場で約束する
何度も同じ確認メールを送る 相手にとって新しい情報がない 毎回、役に立つ情報を一つ添える

事前の準備で「検討します」を減らす

切り返しより効くのは、そもそも判断材料を商談の中で出し切っておくことです。

準備すること 例
よく出る質問への答え 費用の内訳、導入までの期間、サポート体制
判断する人の確認 初回の商談で「最終的にどなたがお決めになりますか?」と聞いておく
比較されそうな点 他社と比べられやすい項目について、自社の考え方を整理しておく
社内説明用の資料 担当者が上司に転送できる、1枚の要約資料を用意しておく

チェックリスト

  • 「検討します」と言われたら、まず受け止める一言を返したか
  • 気になっている点を、責めない聞き方で確かめたか
  • 決める人・判断基準・決める時期を確認したか
  • 次に連絡する日を、その場で決めたか
  • 当日中に、転送しやすいお礼のメールを送ったか
  • 約束の日に、役に立つ情報を添えて連絡したか

まとめ

「検討します」には、社内での確認、判断材料の不足、やんわりとした断りなど、さまざまな意味があります。言葉だけで判断せず、気になっている点・決める人・決める時期を確かめ、次に話す日をその場で決めましょう。商談のあとも、相手の検討を手伝う連絡を続けることで、止まりかけた商談が前に進みやすくなります。

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